Cyberdelics 攻殻機動隊

 

前書き
 「攻殻機動隊(原題はTHE GHOST IN THE SHELL)」が’89年に始まって以来、色々なことがあったが総合的には大変幸運だった。最近では自分の手が届かない領域にまで展開して頂き、読者諸氏及び出版社をはじめとする関係スタッフの方々に本当に感謝している。そういった諸々の展開の中でも当BOXは一番へんで面白いものだと思う。
 イラストはアナログ作業からデジタル作業(平たく言えば絵の具からパソコン)への移行時期と重なる為、技術的・心理的変遷も観られる。今回全点パソコン上でレタッチしてあるが、元アナログの4点(古い順に2035・2036・2116・2117)はなるべく加工せずにおいた。2127以降は鉛筆のラフをスキャナーで取り込む以外全てパソコン上で描いた。現在はフォトショップとブライスをメインに使っている。
 また、当BOXは単に僕の絵がどうこうというだけでなく、印刷や関係各スタッフの並々ならぬヤル気と技術の集積でもある。このBOXを手にしている貴方にとってこれらアイテムが存分に楽しめるものである事を願う。

士郎正宗氏(原文通り)

Cyberdelics(サイバーデリックス)とは、「コンピューターテクノロジーがもたらした意識改革効果」のことです。

「ヤングマガジン編集部」より

 

 

Cyberdelics 攻殻機動隊BOX



 ポスターが特大サイズ(B3版 BOXには2つ折り(折り目なし)収納)のため、このBOXも大きく、これらイラストも迫力があります。
 また彩色も、ラメが使われており、きらきら光りきれいです。でも、好みが分かれるかな?。

Cyberdelics 攻殻機動隊 BOX

 

パッケージ内容

Cyberdelics Commentary(解説書


表紙


 18ページの薄いものですが、ポスターとジグソーパズルに使用したイラストが、原形(通常印刷)で納められています。1992年〜1997年の士郎正宗氏の描き方、つまりアナログからデジタル方式へ移行する時期の作風の変化が、士郎氏自身の言葉で解説されています。イラスト好きな方やイラストレーターには良い資料になるでしょう。

JIGSAW PUZZLE



 500ピースのジグソーパズル。時間が出来たら作ってもいいかな。
 絵柄は、「
攻殻機動隊1.5」の中に収録されている、エピソード03「DRIVE SLAVE part.1」の扉絵です。
 本来の絵柄の全体像は、左にある画像の「Cyberdelics」と書かれている部分まで有ります。
JIGSAW PUZZLE(No.2005) BOX JIGSAW PUZZLE本体

解説書 JIGSAW PUZZLE

No.2005 1992年3月23日
 この1点だけアナログ入稿である。今回の中で最も古い絵で、ブラシもパソコンではなく、コンプレッサーのエアブラシ(アクリル)である点が懐かしい。背景はサビたノコギリをコピー機で無地トーンに複写し、ブラシで調整して切り貼りした。よくアルミ箔だと言われるが、ロールアウト時の線が強すぎて面白い効果が出難い。アルミホイルはツヤの無い面の方がハレーションが使い易い。当時コピー機でおよそありとあらゆるものを複写した。余談だが単行本1巻のプロローグのアレもアルミホイルではない(ロールアウトの線が無いでしょ)。かなり薄い箔の一種である。不思議なもので、単行本P4の窓に映る魚も同じ素材である。魚は偶然そんな風に見えるような模様ができたので少し青と白を足しただけでああなった。
 周囲のワクはサバイバルシートのフチとその失敗ノイズの拡大でできている。それらの話はいずれ「INTRON DEPOT 3」(攻殻だけの画集)にて−。

 

フチコマ・ペーパークラフト


切り抜き用紙
(2枚有り)


完成見本

こんな感じ

 

 失敗してもいいように「切り抜き用紙」は2枚有ります。
 でも「総パーツ数60個以上の、超細かい、ペーパークラフトです」とあるように、見ただけでめげてしまいました。
 それにしても平面である紙を、よくここまで立体に出来るものです。しかもフチコマらしい形に仕上がってますね。
ペーパークラフト解説 フチコマ・ペーパークラフト用紙

シール類

これら「切手式草薙シール」の16枚の絵柄と、「フチコマ・シール」の24色フチコマは、士郎氏の手によるバリエーションです。
切手式草薙シール フチコマ・シール

 

初回版限定3大特典

 

3大特典台紙 ナンバリング入りIDカード ピクトリアル・テレホンカード ラッキープレゼント
士郎正宗のコアなファン専用(「あなた専用」と有るのでたった1つの番号)のナンバーが打刻されている証明カードだそうです。 中古にて本製品を購入したため、テレホンカードを購入(1,000円)するための「ピクトリアル・テレホンカード・ゲット券」は付属していませんでした。しかし、代わりにこのテレホンカード(未使用)自体が付いていました。
もしゲット券が付いていても、今となってはテレホンカード自体を購入できないかもしれないし、1,000円かかるため、逆に得したかも。
銀色の部分をこすり、「草薙」マークが3つ揃えば、ヤングマガジン特製の「攻殻機動隊フチコマTシャツ」がもらえるそうです。
「バトー」の「すまん」マークと、「フチコマ」の「はっずれー」マークがあるようです。
ちなみにこの葉書、こすれておりハズレでした。Photoshopで修整してあります。

ポスター&解説

 「作品番号」の後にある「R」は、レタッチ(修正)の略だそうです。ポスターの絵は、未画集・単行本化のものから厳選してあり、一度、露出したことのある絵には、士郎氏自身の手がかけられているようです。
 作品番号「3005」「3014」「3012」番は、本パッケージのための「
完全描き下ろし」です。

 


以下は、作品と解説です。


作品番号

解説書内容

ポスター解説及びポスターの素材、特殊印刷の仕様
(士郎正宗氏(原文通り))

解説書No.01

No.3005 1997年2月25日
PM4:00
 背景の鎖状のモノは0と1の文字列。当初キャラにからみつかせる予定だったがゴタつくのでやめた。ポーズが窮屈なのはその為。更に後方のステンレスキッチンみたいなのは元々3003の背景だった3Dパーツの内の一つ(デジ楽)。この金属質と白い肌の対比を出す予定だったが、服の色を色変換しているうち(元はほとんど黒に近い色)、この色でちょっと高級な感じに見えて面白かったので多少対比をおさえた(デジバカ)。元々のラフでは胸と内股を露出した服のキャラが文字列にからまるの図だったのだが、思ったよりおさえた仕上がりになった。一番気に入っている所は実はハンドガンなのだが・・・・(マットじゃないけど)。

版式色数:オフセット4色  用紙:マットコート四六版110kg

解説書No.02

No.2116R 1995年9月29日
R:1997年3月1日
PM1:27
 背景やキャラはパソコン以前の制作で、フチコマの縁の装甲のみパソコンで立体を造りプリントアウトしたものを無地トーンにコピーし貼り込んだというデジアナ混合のもの。一見デジタルな背景は真ちゅうの薄板を写真に撮り、コピー機で色変換して創った。
 R(レタッチ)はゴミ取りを主に行い、素子の服以外はほとんど修整していない。これを描く時最初に決めたのが口紅を金(黄色)にする点だった。フチコマのセンサー(目のようなもの、演出上の目)はガラスのオハジキをコピーしたもの。残念ながら現在のコピー機はこの時の機種のような分光やハレーションを起こさない(性能が向上した)ので、ストックは貴重品と化した。
 

版式色数:オフセット4色  用紙:ペットフィルムにアルミ蒸着フィルムを裏貼

解説書No.03

No.2117R 1996年8月29日
R:1996年11月25日
このイラストは 「攻殻機動隊1.5」のエピソード05「MINES OF MIND」part.1の扉絵を飾っています。背景の十字架のような部分も、本の方は回路図が描かれています。
 背景は8月版がブライス1、Rがブライス2で創ったもの。チェス盤のようにしてフチコマを並べる選択肢もあったが、今回は「基盤上での穴釣り」で描いた。十字架にもトイレの女性マークにも見えるようにしたつもりだが仕上がりはいかに・・・・?キャラ上のイレズミや周囲の赤い線、背景上のラインは、2D上完成したキャラをグレースケール(モノクロ)→立体化し、生じたチャンネルの境界線に色を載せたものを整理して創った。
 キャラの顔には最近失われている何かがまだ残っている(この要素は近々回復予定)。

版式色数:オフセット5色 用紙:ホログラムペーパー

作品番号 解説書内容 ポスター解説及びポスターの素材、特殊印刷の仕様
(士郎正宗氏(原文通り))

解説書No.04

No.2127R 1996年8月27日
AM4:39
R:1996年11月29日
PM2:00
このイラストは 「攻殻機動隊1.5」の表紙、およびエピソード07「LOST PAST」の扉絵を飾っています。ただそちらの背景は、ブルー系ですが。
 雑誌掲載時になぜか線が荒れてギザギザ(ディザディザ)になってしまったので、顔だけでなく背景をほとんど全面的に描き直したもの。レタッチとなっているが本当は新作。以前だとこうした非生産的なレタッチは「あそび」だったが、こうして再掲載の機会をいただけるとなるとちゃんとした「仕事」になる。いやーありがたいなー。僕はスタンダードサイズとして350dpi・24.83×33.6cm・45.3Mで製作するが、この絵は20Mと小さく扱い易い絵であり懐かしい。パソコンの近年の進化は凄まじく、またメモリーの値も安くなった。この絵は僕にとってデジタル化初期と現在の差を一番感じるものである。ちなみにキャラがくわえているのは安全ピン。 

版式色数:オフセット4色  用紙:マットコート四六版110kg  加工:クリアスポット加工

解説書No.05

No.3014 1997年3月12日
AM3:57
 当初は街の光が回路図のように集まりキャラに接続している図にしようか、ビルの谷間に横たわる白い光のキャラの図にしようか、ビルの谷間のあちこちにキャラが複数顔を出している図にしようかと考えたが、座ってハネをのばすの図になった。右手の赤い箱は蛋白データキューブ(意味はない)。ビルはもっとそれらしく造りたかったがそれは今後の課題かな。キャラの顔、髪の処理が思ったように描け気に入っている。ハネをもっと特殊効果バリバリにする選択肢もあったが今回はここまで。

版式色数:オフセット5色 用紙:ホログラムペーパー

解説書No.06

No.2035R 1993年6月9日
R:1997年3月1日
PM4:03
 当BOX内で最も古い絵。海外版コミックのカバー用に描いたもの。元々の背景はモザイクのスクリーントーンをカラーコピーで複写したもの。モノクロのモザイクをY(イエロー)とM(マゼンタ)で90度原稿を回転させて黄・赤・ピンク様々な色を出した、我ながらバカバカしいアナログ的荒技のタマモノ。Rではそれを更にモザイクフィルタで加工した(所々にアナログのモザイクを残してある)。こうゆうミラースーツを描くといかにデッサン力がないか明らかに判って恥ずかしいが、修整しだすと「新作化」するのでほとんどノータッチである。よく見るとハンドガンにマガジンが入っていないのが判る。 

版式色数:オフセット4色  用紙:マットコート四六版110kg  加工:プリンタブルホイル

作品番号 解説書内容 ポスター解説及びポスターの素材、特殊印刷の仕様
(士郎正宗氏(原文通り))

解説書No.07

No.2036R 1993年6月16日
R:1997年3月1日
PM3:13
 コピーやスキャナーはごくまれにだが、何をトチ狂うのか変なノイズの繰り返しをプリントアウトやスキャニングする事があるが、これの背景はそういったノイズの一部を拡大したものの一つ。丸いのは人形使いのような形状をした金属球で、赤毛のキャラはその義体らしきもの。攻殻関係でキャラ2人を1枚に描いたのはこれとビデオパッケージの2点だけ(フチコマは1人と数えない)である。デジタルでこのアナログ臭さを出せるように鋭意努力中。

版式色数:オフセット5色  用紙:オフメタル金

解説書No.08

No.3012 1997年2月27日
AM6:11
 比較的気に入っているものの一つ。服はレザーではなくビニールっぽくした。最近ナイフ類によくガットフックをつけるのは強度的に良くなくても「見た目優先」を意識的に増やそうとしているから。思うにサイボーグの戦闘で最もコワいのは、自分自身にもダメージが生じる可能性の高い打撃戦ではなく、パワーを生かした「握り潰し」や「ひねり潰し」ではないだろうか。銃撃戦では移動速度や照準が極めて正確で素早い為、人間の銃撃戦とはかなりニュアンスの違ったソフト戦になるかもしれない。この絵で上手くいったと思うのは胸や、腰に下がる点滴らしき装備(?)、ベルトやスーツのリベットなどである。チラパンはまだまだ研究しないとイカンな・・・・。 

版式色数:オフセット4色  用紙:マットコート四六版110kg  加工:マットPP加工

解説書No.10

No.3003 1996年10月13日
 ハンドガンが「何じゃこりゃ」というデザインだが気にしないように。背景は近所のゴミステーションの壁面を写真で撮ってきたもの(不審人物だな)。服や肌の質感はテクスチャーではなくオリジナルブラシによるもの。背景の文字に悲しいものがあるがよしとしていただきたい。黒い翼は映画版の小真似だが内容はもっとお軽くて3012との対で付け加えたもの。ブラックバードなどとも無関係。パソコン導入当初はキャラと背景がハクリしてしまうとの注を内外から受け対策をあれこれ考えた。背景をキャラに近づける為3Dツールを入れ、キャラを背景に載せる為にテクスチャーやブラシを詰めた。3000番台に入ってから違和感が気にならない程度になってきたと思う(自画自賛バカ)。ひととおりキャラ1人にベタ背景の構成でここまで来たが、ここらで再び絵としての本質に立ち戻って、その中でこれらの技術を再検証、また向上させたいと思っている(そんなタイソーなモンではないが・・・・)。 

版式色数:オフセット4色 用紙:マットコート四六版110kg 加工:PP加工

 

 この絵については、P11〜13の3ページに渡り製作の方法が語れています。このページの冒頭には「1991年に「攻殻機動隊」単行本が発表された際、そのカラーコピー機を駆使した斬新なカラー画は斯界に衝撃を与えた。「謎」とされた当時のテクニックの多くを、本書で士郎氏は明らかにしてくれたが、ここではさらにパソコンを使った1997年5月時点でのカラー原稿メイキングを公開!キャラクターと背景部分に分けて、パソコンユーザーが自宅で同様の手順を行えるレベル(?)で解説していただいた。」とあります。
 士郎氏と同じような絵が描ける(?)のは嬉しい事です。ただ画像処理ソフトは、AdobeのPhotoshopを使っているようですが、このソフトはプロ用で機能が有りすぎてなかなか使い切れません(私も使用していますが、画像を切り抜いたり、画素(絵の大きさ)を変更する事ぐらいしかしていません)。これだけの絵を創るとなると、まずはこのソフトを使いこなす必要があるでしょう。
 

解説書No.なし

アルミホイルの様な表面の為、デジカメで写真を撮影すると「撮影者」が反射して写り込んでしまいます。
苦労して撮影しましたが、一部写ってしまいました。
こんなポスターも付いているんだ、という資料程度に見てください。

 士郎正宗氏が書いた解説で、士郎氏の言葉で書かれていたので、原文そのままに載せました。私だけかもしれませんが、士郎氏のこういうコメントやインタビューでの言葉(インタビューを受けているかも定かではありません)をあまり見たことがありません。もっともDVDの方(押井・神山作品)ばかり見て、コミックはまだ1回づつしか読んでいないせいかもしれませんが。そんなわけで、この「ポスター&解説」の各ポスター説明部分に載せている、それらを描いた時のテクニックなどの解説は全て原文としました。
 しかしコンピューターグラフィックはよく分からないので、理解できない言葉があります。
  デジ楽(
No.3005) → 3Dパーツ集?
  ブライス(
No.2117R) → パソコン用のグラフィックスソフト?
  基盤上での穴釣り(
No.2117R) → なんのこっちゃ
  ブラックバード(
No.3003) → いったい何だろう
    (Webで検索→「アップルコンピュータが1994年に発売したPowerBook520、540、540cの開発呼称。」の事かな?)
というようにいくつかあります。プロが、もしくは詳しい方が使う用語が出てくるので、「専門的でいいな〜」と思えてしまうのは変かな?。

 ところで、コンピューターグラフィックに興味のある方には、参考になったでしょうか。「No.3003」の制作ノート(?)3ページに書かれている事を載せられればよいのでしょうが、量も多い事からやめておきます。ご了承ください。

 

 ポスターは後もう1枚、じつは付いています。ですが全体銀色で反射するため、撮影時に私の影がうっすらと映ってしまいました。また撮り直しをしてみようかと思っていますが、今回は間に合わず省きました。

 なお、ポスターはデジカメ(PENTAX K100D)による撮影。そのほかは、スキャナー(EPSON GT-9700F)でスキャンしました。

 

 


 

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