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銃撃シーンのあらすじ

バトーがハッキングされた

帰宅する際のトグサの運転する車の中

「シーン１７」でロクス・ソルス社の出荷検査部長ヴォーカーソン殺害現場から帰宅する際、イシカワがバトーを送った車の中と同じシチュエーションになっています。

異常なものは何ひとつ出てきませんが、この「シーン２８」では音声や間合いを微妙に変え、違和感を演出しており、それでバトーがハックされたことを表現しています。

確かに、ハッとして「目覚めた」ような感じもします。

守護天使の警告

・・・キルゾーンに踏み込んでるわよ。

ここのシーン（３０）での２人の遭遇ですが、
この女性は、若い人で素子のリモート義体（コドモトコ）か、もしくは素子がハッキングして操っていると思っていました。

しかし実際は、「ホームレスのおばちゃん」もしくはおばーちゃんで、深夜のコンビニに似合う怪しげなキャラクター、という指示を出しているそうです。
そして、背中にしょっているカバンから、ネコが覗いています（拡大画像で確認してください）が、これも押井監督が「ネコを背負わせてくれ」と言ったそうです。

この警告は、素子のハッキングにより操られていたのでもなく、バトーの疑似体験内に侵入した素子のメッセージだったのです。

続きまして、わざと店内の客が、バトーの動きにつられて位置を変え、襲撃の準備を進めている（取り囲み、逃げ道をふさいでいる）ような演出がされています。

疑似体験内での銃乱射

ここが核心部分です

１回目の射撃

落ちる薬莢

２回目の射撃

血が飛び散る方向と、バトーが抱えていたガブリエルの餌と薬莢の落ちる位置で、状況が分かります。

コンテを切る時は、ほんとうに襲撃されているパターンも考えたそうです。
しかし、この演出の方がインパクトがあるので、「疑似体験内で自分を撃つ」というパターンにしたそうです。ただここでも説明・台詞はなく、押井流の演出でバラす・バラさないのところで、すれすれの線を狙っています。

分からせるカットとして、２カット有るそうです。

１．薬莢の落ちる位置
	これは持っていたガブリエルの餌と同じ位置に薬莢が落ちているので、自分の銃の薬莢であると分かります。
	そして血が飛ぶ方向も、内側から外側に向かっています。
２．１回マガジンチェンジをしている
	これはよく分からないのですが、射撃数を数えていると分かるそうです。撃った数が、１マガジンの弾の数より多い、と言うことになります。
	しかしこれは、バトーが左手に持っているバックアップ用の銃（SW59　スミス&ウェッソン59）が何であるか。そしてその銃のマガジン内の弾数を知らないと分からないことですよね。やはりここでも、押井監督はこだわっています。		S&W M59
		SW59の設定

なお、逃げまどう客の位置も射線が一致する位置にいたり、銃声に振り向くスタジャンの少女の目には「殺意が込められているように」、ということで描かせているそうです。

ちなみにバトーの右手に握られているメインの拳銃は、「CZ40SW」というものです。

CZ40SWの設定

参考までに
このモデルは「Smith and Wesson Model39-PE」です。
CZ40SWは、架空の銃？

コンビニの親父が持っていた銃は、レミントンのモデル870（Remington Model 870）です。
	レミントンM870の設定

再び現実に

イシカワがバトーの首筋のプラグに、電脳鍵を入れてバトーを現実に引き戻した。

これにより今までの出来事が、ハッキングされたバトーの疑似体験内で見せられていた映像であることが分かる。

コンビニ内でバトーが銃を撃った時は、捜査妨害が目的で襲ってきたと思っていました。ですが、上でも書きましたが「From【GHOST IN THE SHELL】 to 【INNOCENCE】」で解説されているのを見て、なるほどと思いました。
薬莢が落ちる場面で、バトーは自分で自分の腕を撃っている、と説明していたのです。確かにこの部分ではまだ、表面上は撃たれっぱなしで、バトー自身が撃った感じではありませんでした。しかし薬莢はバトーが持っていたドッグフードと同じ場所に落下しているわけです。

この事実が、自分で自分の腕を撃っていることを説明していたわけです。

そして最後に、コンビニの親父の額にバトーが銃を突きつけた時、イシカワが電脳鍵をバトーのプラグに差し込み、現実に引き戻しましたが、ここでバトーがハッキングされて疑似体験させられていたことに気づきます。
もっとも自分は、攻殻の世界ではこのイノセンスが初めて見た作品のため、このころはまだ電脳や疑似体験と言うことを全然知らなかったため、「バトーが正気ではなかった」そしてイシカワが「気づかせてくれた」程度の認識しか有りませんでした。

でもこの真相を、絵コンテ（ロマンアルバム 2501～イノセンス絵コンテ集）のP94～109にかけて欄外注記や絵コンテの設定に書かれている説明を読み、全てが把握できました。

バトーがコンビニ内で銃を乱射してしまったのは、捜査妨害が目的でキム（たぶん）がバトーにハッキングし、疑似体験をさせた。
そのため、襲われると勘違いしたバトーが、自己防御のために銃を撃った。しかし自分で自分の腕を撃ったこと自体を、疑似体験で他から撃たれたと思わされていたわけです。

それにしても、キムのハッキング能力は「恐るべし」ですね。ただこれで墓穴を掘ってしまい、犯人が誰かの目星を付けられてしまいました。バトーにハッキングできるほどの人間は、素子の他にはあまりいませんからね。

ただここで気が付いたことは、イシカワが「北端へ飛べ」といった言葉です。ここで目星を付けたキムが、北端の都市・択捉にいることを9課は把握していたのかもしれません。9課の情報収集能力もたいしたものです。

このように色々考えていくと、監督が意図したこと以上に思いをはせることが出来るかもしれませんね。

皆さんも何か気づいたことがありますか？。