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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Societyの世界

そして2年の歳月が流れた・・・・・・

A.D.2034

 

組織が拡大を遂げる中で、

 

精神的支柱を失った公安9課に、

かつてない試練が襲い掛かる。

 

6カ国協議によって

日本政府に押し付けられた負の遺産。

その背後に超ウィザード級ハッカーの

影がちらつく。

 

社会インフラを逆用した完全犯罪。

公安9課を待ち受ける巧妙な罠。

そして訪れる絶体絶命の危機・・・・・・

 

           「攻殻機動隊 S.A.C.プロダクションノート」
                         インフォメーションより

 

                        販売:バンダイビジュアル

 

 

荒巻が・・・  バトーが・・・  そして、トグサが・・・

 

その時、茅葺は・・・

 

9課の新メンバーは何を体験するのか?

 

 

“Solid State“に近づくな・・・

 

いったい「傀儡廻」とは

何者なのか・・・

 

 

 

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ストーリー

西暦2034年。難民蜂起事件が終結、そして公安9課から草薙少佐が去って2年の歳月が経過していた。トグサが新しく組織を率いる立場となり、新人20名を増強した新生公安9課に、新たな事件が持ち込まれた。

 

 シアク共和国のカ・ルマ将軍に忠誠を示す「梵」の刺青を入れた13人のテロリスト(特殊工作員)の連続自殺事件に絡む「空港人質立て篭もり事件」の鎮圧である。その結果、公安9課に追い詰められた立て篭もり犯(カ・ルマ将軍の長男 カ・ゲル大佐)は「傀儡廻(くぐつまわし)が来る」と言い残し、自決した。捜査の結果、一連の事件を背後で操っている存在が「傀儡廻(くぐつまわし)」と呼ばれる超ウィザード級ハッカーであることが判明する。2年前に失踪した少佐も、新浜港のクレーン上でこの状況を監視していた。
 荒巻課長やトグサらはティルトローターに載り、カ・ルマ将軍の幽閉先へ向かった。
 独自に捜査をしていたバトーは、「梵」の刺青を入れたテロリストが自殺した現場から、荒巻課長の指示によりテロリストの一員であるマ・シャバが潜む病院へと向かった。

 

 カ・ルマ将軍の幽閉先では、自殺した将軍の遺体と共に、マイクロマシンウイルスによるテロに関するログが押収された。幽閉され外部と遮断されていると思われていた将軍は、介護ネットにバックドアをもうけ、仲間と連絡を取り合っていた。そのログにより9課の考えていた「テロリストの連続自殺はこのテロの始動の合図」、ということは否定された。それどころかカ・ルマ将軍の自殺に、「自殺を見せかけた暗殺」の臭いを9課は察知した。政府内部に、将軍が死んだことを知らせたくない「誰か」がいるのだ。
 そして「傀儡廻」という血文字も発見する。「傀儡廻」とはテロリストの中の一人か???。疑問は深まっていく。
 一方マ・シャバのいる病院では、バトーより一足早くクロマ義体の少佐が到着していた。迷うことなくラボに入り、マイクロマシンウイルスの入ったクーラーボックスを奪取した。脱出に移った少佐は、ドアの小窓からバトーの姿を発見する。
 一方バトーは不審な車(フェラーリF430)のセキュリティーの張り方から、少佐が近くにいることを感じた。するとその時、近くで爆発が生じた。爆発現場に向かうバトー。
 爆発現場では、少佐が深海作業用ロボットに襲われていた。少佐を「傀儡廻」と思ったマ・シャバが、電脳のハッキングをおそれてこのロボットで少佐を攻撃したのだ。追いつめられる少佐。しかしバトーの命令により、裏へ回ったウチコマが破壊したドアから無事脱出した。それを追うバトー。そして、銃口を向け合う二人。そこでお互いを確認する。少佐は「個人的推論にのっとった捜査活動」を行っていたのだ。
 そこに深海作業用ロボが現れる。銃を構えるバトー。少佐がそれを制止する。何か動きがおかしい。フラフラと暴走をしている。壁に激突するロボット。クーラーボックスをバトーに預け、少佐はロボットに飛び乗った。すかさずQRSプラグを、ハッチのポートにジャックinする。ロボットが停止し、プラグを抜いた少佐はハッチをこじ開けた。すると中にいたマ・シャバは、すでに死亡していた。
 クーラーボックスを受け取った少佐は、バトーの車のキーをスリ取り車に乗り込んだ。そして「ソリッドステートには近づくな」と忠告を残し、去って行った。
 応援に来た9課のメンバーの口から、バトーは「傀儡廻」の存在を知る。そして、少佐がその「傀儡廻」ではないかと疑問を抱くのだった。
 病院内を捜索した9課は誘拐された児童を発見。マイクロマシンウイルスを子供に埋め込み、ウイルスをばら撒くというテロの全容を知るのである。

 

 少佐(クロマ義体)はペントハウスの最上階にいた。エレベーターを降りたロクマとすれ違う無表情のサラリーマン風の男がクロマをちらっと見る。コシキ タテアキである。なぜ彼がここに・・・?。
 奥に歩みを進めるクロマ。クロマが入った部屋は、義体収納場所が7つ有る部屋だった。マイクロマシンウイルスの入ったクーラーボックスを床におき、クロマは空いている収納室に入ると、隣の収納室から別の義体が出てきてクーラーボックスを肩に提げ部屋を出て行った。
 操作室の中にはコドモトコ(ロキとコナン)と草薙素子本人がいた。

 

 9課本部ではサイトーがアフリカから戻ってきていた。サイトーとバトーも会議に合流した。アジトから見つかったリストにより、テロリストの構成員は自殺した13名の他、カ・ゲル、マ・シャバそしてラジ・プートの3名で計16名であること。そしてテロに使用する物は、天然痘ウイルスを遺伝子操作した時限発症機能付きのBC兵器であり、1グロス計144本のアンプルが国内に持ち込まれていることも報告された。
 これによりマイクロマシンウイルスのアンプルの行方と、「傀儡廻」捜索をすることになった。
 一方、9課解析室付属の子供部屋にいる子供たちを、メディカルチェックしたイシカワ達からトグサは報告を受けた。マイクロマシンウイルスを埋め込まれた痕跡はなく、虐待による傷跡だけであること。しかし記憶の一部が消されており、IDが別の物に書き換えられていること。そのため名前と住所は言えても、両親のことは記憶しておらず、その住所には老人が住んでいると言うことだった。そして、共通することはその老人達が「全自動老人介護システム」に繋がっていることだった。
 そこでトグサはある疑問を持った。カ・ゲルはテロを起こすため、人間爆弾を作ろうとしていた。ならなぜ、親の記憶を消す必要があったのか。本来ならウイルスを仕掛けた後に、誘拐の記憶を消し親元に帰すはずである。また電脳化は誘拐前に行っていた。しかも合法的に。このことから厚生省や総務省のデータと、住基ネット上のデータに不一致があるはずであることに気づき検索をかけた。結果は20,063名。これだけの誤差があるとは。これだけの人数が誘拐されているとすれば、誰かが気付いていいはずだ。疑問が疑問を呼ぶ!。そこで不一致の子供の名前と住所データを、洗い出すことにした。検索をかけ始めてすぐに、警報がけたたましく鳴り響いた。そしてレベルEクラスのウイルスが確認された。総務省のデータにウイルスが仕込まれていたのだ。コマンドを受け付けないシステム。消えていくデータ。
 電源線をバトーが切り、この事態はやっと収拾した。
 ここでさらに疑問がわき上がる。20,000人以上の誘拐はカ・ゲルや「傀儡廻」にできる数字ではない。また、住基ネットのデータの不一致を放置しているのは、あまりにお粗末である。何か別の意図を感じるバトーであった。
 そこに荒巻課長が、マイクロマシンウイルスのクーラーケースを持ち現れた。何者かにより厚生省の病原微生物管理区画に届けられたのだ。これで捜査の柱の1つである、ウイルスの行方の追及は解決した。残ったのは後1つの柱である、「傀儡廻」の捜索。
 しかし荒巻課長の口から、捜査中止の言葉が発せられた。
 恩師の病院へ向かおうとしている荒巻の車の中。バトーは荒巻の真意を確認する。少佐が去ってからの9課のあり方を、荒巻から聞かされたバトー。バトーだけではなく、荒巻もまた大きなそして貴重な柱を無くしたことに苦悩していたのだ。
 真意を知ったバトーがエレベーターホールまで戻りトグサを見つけた時、突然、非常事態を告げるイシカワからの知らせが電脳内に響いた。現場へ行くと保護した子供達はいなくなり、プロトが銃口を自分の頭部に当てていた。それを取り押さえたバトー。子供達を捜索するよう、トグサの指示が飛ぶ。各自が散開する中、バトーがトグサを呼び止めた。
 「傀儡廻の正体に、心当たりがある」、ここでバトーはマ・シャバのいた病院で少佐に再会したことを告げた。そしてカ・ルマ将軍の暗殺を企てたのは条約審議部で、少佐がそこにいるだろうと言うことも・・・。
 そこに荒巻課長からの電通が入る。「バトー!サイトーと2人で大至急、環状16号線に向かえ!最優先事項だ!」。そしてトグサも、「傀儡廻」が9課に侵入したことを告げた。これにより「傀儡廻」捜索が再開された。
 またバトーとサイトーへの指令は、唯一入国していなかったテロリストであり、元シアク共和国の特A級スナイパー ラジ・プート中尉が国内で捕捉されたので、これに張り付き目的を調べることだった。早速2人は現場へ飛び、ラジ・プートの乗ったタクシーに接近した。

 

 一方トグサには、いなくなった子供の1人が確認されたというイシカワからの電通が入る。トグサもそちらに急行する。

 

 バトーとサイトーは、一晩中ラジ・プートに張り付いていた。その走行中、常に「聖庶民救済センター」が見えていることに気づき、ヒットする対象がこの関係者であると予測する。

 

 子供の保護に向かったトグサは、子供が入った家に潜入した。
 そして奥の部屋で介護機械に繋がる老人と、その脇の床に横たわる子供を発見するのだった。その子供を抱き上げるトグサ。すると老人が突然手を伸ばし、子供を返すように要求した。
「その子には全財産を投資している!。
国に取られるくらいなら、だれかに相続させた方がましだ。放っておいたら、どのみち虐待で死んでいた子供だ・・・。
これは、ソリッドステートに棲む者達の総意であり、ささやかなゲーム、いや、まっとうな経済行為だ!。
お前も自殺したくなければ、我々の社会に関わるな!。警告はしたぞ・・・。」
と言い残すと息絶えた。
 その後の処理に警察と聖庶民救済センターが当たっている時、トグサは気が付いた。この子供をトグサが助けなくとも、老人の死後、子供に遺産が渡るようにルーチンワークされているということに。
 トグサが特殊工作員の自殺、消えた子供達、貴腐老人が、ソリッドステートに棲む者達の総意によることなのか疑問に思っている時、「お姉ちゃんがいなくなった」という奥さんからの電話が入った。
 まさか、まだ電脳化していないのに誘拐?。「傀儡廻」のせいなのか・・・?。トグサは自宅へ急いだ!。

 

 一方バトーとサイトーは、タクシーから降りたラジ・プートを追っていた。
 しかしラジ・プートは熱工学迷彩を使い、2人の目をくらました。ラジ・プートはサイトーと同じように、狙撃に「タカの目」を使う。狙撃対象は衛星を逆探知すれば把握できる。しかし、やつの居場所はどうする?。
 2人はすかさず、近くにある高い電波塔を載せたビルの階段を駆け上っていった。
 そして準備を始める2人。
 一方ラジ・プートも標的を捕捉していた。
 バトーが衛星経由で、この情報を得る。標的の顔を確認。
 そしてサイトーもラジ・プートのを居場所を確認した。サイトーの指示により、この映像を逆流してラジ・プートへと送る。
 サイトーとラジ・プートの一騎打ちが始まる。2人ともお互いの狙撃場所を確認し、スナイパーライフルを向け合う。
 だが一瞬速くサイトーがトリガーを引く。ついでラジ・プート。すれすれですれ違う弾道。
 このわずかな差が勝敗を決した。
 左胸を打ち抜かれたラジ・プート。しかしサイトーも左腕とライフルをやられた。
 ラジ・プートの所へ急行するバトー。倒れているラジ・プートの映像をサイトーに送る。サイトーの顔に、充実感の笑みがこぼれる。
 バトーは続いてラジ・プートの目的を確認した。
 それによると、将軍の仇討ちのため日本に潜入したのだが、その仇が誰であるかという情報は二重スパイに教わったという。そして、教える条件が「その仇を殺れ」というものであって、また二重スパイの名は、外務省の宗井という代議士、とのことであった。
 荒巻課長に宗井議員のことを報告するバトー。しかしここで、意外な事実が判明した。
 カ・ルマ将軍暗殺の黒幕であるらしい人物こそが、二重スパイの宗井であり、「その仇を殺れ」と指示された狙撃の対象でもあったのだ。

 それを知りラジ・プートは、「自殺でもしたかったんだろう」と一言。
 これもやはり「傀儡廻」の仕業なのか?。
 だがラジ・プートの口から、「傀儡廻」とは人間ではなくソリッドステート内にある誘拐のインフラであることが判明した。ソリッドステートとは介護ネットのことで、日本は民主国家のくせに政府が子供を誘拐している、というのだ。
 救護班と、宗井の裏を洗うように要請するバトーであった。

 

 しかし、自宅へ急行したトグサに危機が迫っていた。
 家族に再会し、娘の無事を確認したトグサだが、その様子を監視カメラで監視する者がいた。
 娘を幼稚園に送ろうと、車に乗り込んだ2人。そこにバトーからの電通が入った。ラジ・プートの件である。
 「傀儡廻」は人ではなく、介護ネット内の誘拐のインフラである。
 そして介護ネットのことをソリッドステートと呼んでおり、誘拐には政府が関与していることをにおわせていた。
 また少佐に会った時、「ソリッドステートには近づくな。」と忠告された。
 さらにカ・ルマ達テロリストは、ソリッドステートを利用しようとしてパージされたのではないか、ということが報告された。
 この時、娘の携帯のコールが鳴った。「ママからだ・・・」という娘に、トグサは代わりに応答した。
 「警告を無視したな」という「傀儡廻」からの電話であった。「かわりにお前の娘をもらう!」というメッセージの直後、トグサの電脳はハックされてしまった。
 車を急発進させるトグサ。
 異変に気づくバトー。すかさずイシカワに、トグサの居場所を特定するように指示が飛んだ。

 

 トグサは「傀儡廻」にこの誘拐事件の真相を聞いていた。
 その内容とは、虐待などにより理不尽に損なわれる「ゴーストの再生利用をしている」というものだった。それをトグサの娘を使い、一部始終を追体験させるという。
 それは親の電脳をハックし、親が子供を病院に連れて行き、合法的に電脳化手術をさせることから始まる。
 その後、子供の記憶を上書きし、老人の家まで送る。これで誘拐は完了する。
 そして親も記憶を消され、子供はいなくなっている、というものだ。
 病院内を歩く2人。そこでトグサは気が付いた。まだ右腕が自由であることに。
 「選択の余地はあるってことか」
 ヒップホルスターのマテバに、そっと手をさしのべた。
 そのころバトーは、この「電脳設術病院」のヘリポートに着いていた。トグサを探して階段を駆け下りるバトー。果たして間に合うのか?。
 トグサは娘に、「パパが手を離して、バーンという音がしたら運動会のように走るんだ。絶対後ろを振り返っちゃだめだよ。」と言い聞かせ、目をつぶらせた。
 そしてマテバのハンマーをおこし、こめかみに銃口を付けた。
 それをバトーが発見する。「トグサ!」という叫びもむなしく、トグサは「愛してる」の一言を残し、トリガーを引いた。目をつぶったまま走ってくるトグサの娘を、バトーは抱き留めた。トグサを見ると、「見えない何か」に抱きかかえられているように、倒れるトグサの動きがゆっくりと止まった。
 少佐である。熱工学迷彩で身を隠していた少佐が、間一髪の差でトグサの発砲をそらせていたのだ。
 すかさずQRSプラグをトグサの首のコネクターに挿し、タチコマエージェントのマックスとムサシに、犯人追跡を指示した。
 気が付いたトグサ。少佐との再会である。少佐は9課を離れ、ネットを彷徨しながら組織的方法論では対処できない事件に、介在していたのだった。その捜査途上で、今回の誘拐事件を発見し追っていたのだ。
 そして「傀儡廻」は介護ネットに繋がった老人達の総体であり、それとは別に「ハブ電脳」が存在することもわかった。老人の総体が織りなすリゾームがあって、そのリゾームには中心という概念がないため、ハブは常に移動もしくはリゾームその物であるように振る舞っているのだった。

 マックスとムサシに追跡結果を確認したが、追跡に失敗していた。しかしその現在位置は、把握していた。
 老人介護システムの中枢が置かれている、「聖庶民救済センター」である。

 

 聖庶民救済センター近くの空き地に集結する9課メンバー達。
 ここで荒巻課長と少佐が再会する。しかし再会を喜んでいる時間はない。
 「傀儡廻」を押さえるべく、行動を開始した。

 

 しかし「傀儡廻」はいったい誰なのか。老人達を束ねている者は?。
 強制捜査をするには、証拠が少ない。しかし今までの情報から推理すると、この「聖庶民救済センター」を作る時から関わっている者の中に、「傀儡廻」がいたと推理される。
 「傀儡廻」は宗井議員を消すチャンスを狙っている。やつの正体を暴くのは、今しかない。
 「聖庶民救済センター」への突入を決意するのだった。

 

 9課偽装バンの隣に、播磨トランスポーターが到着する。その中から出てきたのは、タチコマだった。
 トグサとバトーも忍者スーツに着替えている。
 待機していたイシカワが、配線を引き抜くと「聖庶民救済センター」ビルのサイレンが鳴り響いた。突入開始である。
排水口のゲートが開かれる。そこから5機のタチコマが、次々に進入していく。
 迎え撃つのはアームスーツを着た警備サイボーグ。
 宗井議員も、そのころコンピューターを操作していた。「また検察のハッキングか?。」いつもの攻撃であると思い、従卒の官僚達に子供達の視察に行くことを告げた。

 

 進入した排水口付近で、タチコマに載ったパズが2機のアームスーツを撃破した。

 

 センターの資材搬入口を解錠しようとしている草薙機、トグサ機とバトー機、3台のタチコマの所へ、警備サイボーグが2機現れた。
 その時、扉が開き始めた。先に中に入る少佐。
 トグサ、バトーと草薙機、3機のタチコマは、機銃を掃射しながら警備サイボーグを引きつける。
 警備サイボーグは、「中に入った奴は終わりだ」と言い残し、タチコマを追跡した。
 二手に分かれたタチコマを追って、2機の警備サイボーグも分かれる。
 バトー機を追ったサイボーグは、タチコマと取っ組み合っているさなか、ポッドを出たバトーに背後を取られ、捕獲されてしまう。

 

 そのころ中に入った少佐は、アンドロイド警備兵に遭遇していた。
 「警告なしの発砲か・・・」。この施設の重要性を知るのだった。

 

 トグサと少佐のタチコマは、警備サイボーグを誘いながら、センターの壁面を上っていた。屋上に着いたタチコマは、ビルの反対側へと移動。警備サイボーグを迎える。
 屋上に着いた警備サイボーグが機銃を発射するが、タチコマ2機は身軽に飛び退き、壁面を落下。熱工学迷彩で行方をくらませた。
 タチコマが落下する直前、ポッドから出たトグサは熱工学迷彩で身を隠し、警備サイボーグの捕獲に成功した。これで追っ手はいなくなった。

 

 一方、中に入った少佐はアンドロイド警備兵に追われていたが、サーバールームの防壁の中にいた。その防壁を破ろうとするアンドロイド達。
 そこにバトーのタチコマが機銃掃射を加える。なぎ倒されるアンドロイド。数が多いが、グレネード弾も浴び、次々に倒されていく。
 中では少佐が、システムの制圧を行っている。突然入り口のドアが吹き飛んだ。飛び込んできたのはバトーだった。
「バックアップを。もう少しでシステムを制圧できる・・・。」
「まかせとけ・・・。いつだってそうして来ただろう。」
 アンドロイドの銃撃に、バトーはセブロC26を撃ちまくる。
 とその時、アンドロイドが突然フリーズし倒れていった。システムが制圧され、子供達の居場所も判明した。

 

 再度壁面にとりついていたトグサは、屋上へ行き荒巻課長らと合流した。

 

 視察に向かった宗井議員と官僚の一行は、教育区画にある洗脳室に着いた。そこには洗脳装置に繋がれた子供達が多数いた。
 満足そうな表情で眺める宗井。しかし或る一点で動きは止まった。
 そこには荒巻課長、トグサそしてタチコマがいた。
 宗井議員の犯罪を追求する荒巻。
 自己の考える正義を振りかざす宗井。お互いに譲らない2人であった。
 そこに少佐とバトーが到着する。
 「この子供達は孤児ではない。大半が誘拐された子供です。その誘拐事件を追ってここまで来た。あなたも、その誘拐事件の重要参考人です。」と告げられ、動揺する宗井であった。
 誘拐を行うようなバグを組み込んだ覚えはないと主張する宗井。
 そしてシステムを考案した者への事情聴取となり、コシキタテアキが名乗り出た。
 「自分がソリッドステートシステムの基本概念を作りました・・・。」そういうと、コシキは銃(セブロM-5)を取り出し、自分の頬に銃口を付け、トリガーを引いた。
 その様子を見、おびえて逃げ出そうとする宗井議員と官僚達をトグサが拘束していく中、少佐はバトーのバックアップの元、コシキの記憶・意識が意味消失する前に、コシキの電脳へとダイブしていった。

 

 そして「傀儡廻」事件の全容があかされようとしている。

 

 しかし、その先にあるものは?

攻殻SSS キーワードを考える

「傀儡」とは (読み : かいらい)

 

 

 (1) 陰にいる人物に思いどおりに操られ、利用されている者。
 (2) 操り人形。くぐつ。

 

「goo辞書」より

 

 

 

 このことにより「傀儡廻(くぐつまわし)」とは「操り人形を操る人」ということになり、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」にでてきた「人形使い」と同じであると言えます。各種ブログにも、「人形使い」という記述を見ることが出来ます。

 

 


 

 

でも、おもしろいですね。押井監督の劇場版攻殻機動隊「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」に出てきた「人形使い」と同じキャラクターが、神山監督のTV版攻殻の続編である「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」に、「傀儡廻」として登場するとは・・・。
今まで神山監督は1st、2nd共に、「1つのことに大衆が同調し、拡大していく」という事象を扱っています。
1stの「笑い男事件」。アオイ君がネットで見つけた「マイクロマシンに電脳硬化症を治す効能がないことの論理的内容の文章」が元になり、「オリジナル無き模倣者」が事件を拡大していき、それを権力者が利用した。
2ndではクゼがハブ電脳となり、300万人の招慰難民に自分の革命の理論を公開し、難民はそれに同調した。
これは大多数の人間を「感化」はするけれども、「人形使い」や「傀儡廻」のように人間を積極的に自分の意図するように操るのとは異質なものです。つまり自分の考えを公開し、それに大衆が同調するのであり、積極的に人を動かすものではないと言うことです。
ところがSSSでは「傀儡廻」は、積極的に人に介入し自殺へと導いています。
しかしもう一つの側面として「傀儡廻」は、貴腐老人の「財産を死後、国に没収されるのを防ぎたい」という欲求を、虐待され死に追いやられようとしている児童を跡継ぎとしてもらうことによりかなえる方法を提示し、老人たちはそれに同調した。「傀儡廻」の「GHOSTの再生利用」という考えと、うまくリンクさせて。
このことからSSSは、押井監督の積極的な人間操作と、神山監督の「すべてが同じ色に染まっていく」(攻殻機動隊名台詞より)という大衆の問題を、見事に融合させた作品であるといえないだろうか。

 

 


 

 

題名の「Solid State Society」とは

 

 

神山監督が言っています。
「長編は一目で俯瞰しきれないから、一言で今回の出来事を言い表せる言葉を見つけよう」
ということで、YMOの「Solid State Survivor」という曲名をそのまま引用してもよいかと思ったが、「生き残ろう」というメッセージも押しつけがましく感じたため、”状態のみを表す言葉”として「Solid State Society」に決まったそうです。
そして、テーマを表現するには、この言葉を直訳するのが一番適している、とも言っています。

 

 

Solid

 

固体の; 【数】立方の, 立体の; 実質[中身]のある, ぎっしり詰まった ((with)); 正味の; 堅い, がん丈な; (色調が)無地の; 純粋な; 団結した, 満場一致の; (学問が)しっかりした; まじめな, 信頼できる; 確かな; 慎重な; (財政的に)堅実な; 連続した; 【印】べた組の; (複合語が)ハイフンなしに結合した ((例softball)); 〔話〕 仲がいい; 〔俗〕 (音楽が)いかす.
━━ n. 固体; (普通pl.) 固形の食物; 立体.

 

State

 

状態; 〔話〕 興奮状態 (in [into] a 〜); (人の存在状態たる)地位, 身分; 高位, 威厳, 荘厳; (普通the S-) 国(家); (普通S-) (米国・豪州の)州; 〔話〕 (the States) 米国 ((米国人が国外で自国を呼ぶのに用いる)).

 

上2つを合わせると

 

Solid State

 

【電子工】ソリッドステートの, 固体中の.

 

Society

 

社会; 世間; …界; 社交界, 上流社会(の人々); 会, 学会, 協会, 組合; 社交; 交際; 一緒にいること.

 

「goo辞書」より

 

 わかりづらいですが、直訳では「たくさんある」「状態」の「この世の中」、ってことになるんでしょうか。
 そして、続けて神山監督のコメントで、
「現実社会で起きている問題を盛り込むことが大きなモチベーションとなっている」
というのがあります。
 今我々が生きているこの現在、毎日たくさんの事件が起きています。
 そして将来予測できる問題もあります。
作品のコンセプトに、現在があってその先の未来(西暦2034年)を描く、というのがあります。

 

 

 つまり、現在抱えている問題と、そして将来起こるであろうと予想される問題が「ぎっしり詰まった」「状態」の2034年の「社会」。そして、それら問題の解決方法の提示を、このSSSでは言っているのではないでしょうか。